裁判・後見

成年後見制度とは

成年後見制度とは、認知症や知的障害などの精神上の障害により、判断能力の低下した人を保護し、日常生活を支障なく生活できるように支援するための制度です。

なぜ必要な制度なの?

判断能力の不十分な場合は、
・お金の管理をする
・不動産や預貯金などの管理する
・介護サービス施設への入所契約を結ぶ
・税金の納付や申告をする
・遺産分割の協議をする
などのお手続きをご本人が行うのが難しい場合があります。

また、ご本人に不利益な契約であっても、よく判断ができずに契約を結んでしまい、詐欺や悪質商法の被害にあうおそれもあります。

そこで、判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。

成年後見人制度メリット・デメリット

◆メリット
  • ご本人が行った不当な契約などを取り消すことができる(法定後見人制度の場合)
  • ご親族様の使い込みなどの防止ができる
  • 財産や資産を管理を行ってもらえる
  • 介護サービスや施設入所に関する契約等の生活に必要な契約を代理して行ってもらえる。
    ※成年後見人にお食事や実際の介護をしてもらえるわけではありません。
  • 相続に関する権利等の行使を代理しても行ってもらえる(遺産分割協議など)

近年は高齢者を狙ったさまざまな詐欺などが多発していますので、法律行為が難しい場合には、成年後見人制度の利用も1つのとしてご検討いただけたらと思います。

◆デメリット
  • 申立てに時間とお費用を要する
  • 後見人によっては報酬が発生する
  • ご本人がご自身お金の入出金を自由にはできなくなる
  • 成年後見人の仕事は本人の死亡まで続く
  • 資産運用や相続税対策が難しくなる場合もある。

法定後見人制度を利用する場合、申立てから利用開始まで、4ヵ月~6ヵ月ほどかかります(事例や管轄ごとに異なります)。また、申立てのためには、多くの書類が必要になりますので、書類の事前準備まで含めると、さらに長くかかります。

また、法定後見人制度の場合、家庭裁判所が後見人を決定します。決定の際に、後見人として弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職が選任されると、報酬が発生します。

※専門職の報酬額は裁判所で事例ごとに定められています。詳細は裁判所のホームページにてご確認が可能です。

そして、成年後見人制度は、ご本人の資産を保護するという観点から、資産運用や相続税対策などの資産を変更する行為も難しくなる場合もあります(※裁判所の許可が必要です)ので、ご注意が必要です。

成年後見人制度は、このようなメリット・デメリットを踏まえたうえで利用するかどうかを決めることをオススメしております。

お手続きの流れ(法定後見で後見人を選任する手続きの流れ)

家庭裁判所へ申立

ご本人の住所地のある家庭裁判所に申立て。

必要書類作成申請。かなり多くの書類をご準備いただきます。書類を揃えていただくだけで1か月かかるケースもあります。

審理

調査官の調査 面談、親族への照会(鑑定等)。

家庭裁判所の調査官がご本人や関係者と面談を行い、申立書に記載されたご内容をもとに、ご本人の状況などについて確認を行います。面談は、原則、家庭裁判所で行われます。

家庭裁判所の調査官が、ご本人との面談を通して、判断能力を確認します。家庭裁判所が後見等開始の審判をするには、医師にご本人の精神状態を鑑定させますが、明らかに鑑定の必要がないと判断された場合には、鑑定が行われないこともあります。

審判

後見の開始、後見人の選任を裁判官が判断。

家庭裁判所が調査結果をふまえて後見人の選任などを行う。

家庭裁判所は、ご本人の心身状態並びに、生活や財産の状況、成年後見人候補者の職業や経歴、さらに成年被後見人との利害関係の有無などその他一切の事情を考慮して、後見人の選任を行います。したがって、申立時に後見人の候補者を立てたとしても、必ずしも候補者が選任されるとは限りません。

審判の確定

法務局へ後見登記へ ※戸籍には記載されません。

選任された後見人が仕事開始。

家庭裁判所に選任された成年後見人は、選任されてから1か月以内に、ご本人の財産調査と、財産目録の作成を行い、家庭裁判所に提出しなければなりません。成年後見人が、財産目録を家庭裁判所に提出するまでは、緊急を要すること以外にその権限を行使することはできません。

家庭裁判所に最初の財産目録を提出後、ご本人の利益のための事務を開始します。

誰でも成年後見人になれるの?

法律上は特別な資格などは要求されません。

※法律で成年後見人になることができない「欠格事由」に該当しない場合にはなることが可能です。)したがって、家庭裁判所により選任されれば、誰でもなることができます。ただ、過去の統計上、成年後見人には司法書士や弁護士のような法律の専門家が選任されていることが多いです。

成年後見人の欠格事由

※以下の方は、成年後見人になることができません。

  1. 未成年者
  2. 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
  3. 破産者
  4. 被後見人(本人)に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
  5. 行方の知れない者

※これらの欠格事由は、成年後見人だけではなく保佐人や補助人にも該当します。

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